日本の良さは、海の外からわかる
流行語大賞に、「インバウンド」がノミネートされたのは、去年のことでした。(そして同年の大賞は「爆買い」。)この1~2年でこの言葉も、すっかり定着した感があります。仕事で影響を受けている方も、多いのではないでしょうか。
天気が良い日、僕は職場まで、自転車で通勤しています。大阪市内を、朝と夕方に走るのですが、中国の(と思われる)方々を中心に、外国人旅行客を、本当によく目にするようになりました。
長堀通と心斎橋筋商店街が交わるあたりなんて、特にですね。時間帯によっては、日本人よりも、明らかに外国人が多いように感じます。
日本政府観光局の5月の発表では、2016年の訪日外国人は、1~4月の累計が前年比32.9%増。4月だけだと、前年比は18.0%増ですが、人数では単月過去最高の208万2千人。熊本地震の影響は気になりますが、全体としては、円高に振れて以降も、右肩上がりに増えています。
(http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_tourists.pdf)
「爆買い」そのものは、ピークを超えたとも言われていますが、今後は消費がモノから体験やサービスに移行することで、新たな市場が開けてくることも期待されています。
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かつては、人口増加(内需)と円安(輸出)で、ぐんぐんと成長した日本経済。
それが円高~バブル崩壊を経て25年、海外旅行客の消費が大きな一部を担うまでに、社会は変わってきています。
改めて考えてみると、今の日本は、本当に過ごしやすい国です。
モラル意識が高く、治安が良い。
食べ物も美味しいし、インフラも整っている。
サービスの質が高い。
四季があって、少し都会から離れれば、豊かな自然もある。
そしてこれだけの条件を満たしているのに、世界から見たら、決して高くない(ここの感覚を、日本人は15年くらい前のまま、止めてしまっている気がしますが。)
他の国にはない独自文化も豊富にあり、これからオリジナルな体験を提供できる国として、世界中から注目を集めるポテンシャルが、十分にあります。
ただし、そのことを自覚している日本人って、まだまだ少ないのではと思っています。
「インバウンド」という言葉も、あまりポジティブな使われ方をしていないように感じます。日本の独特の閉鎖性が、変化の足を引っ張っているのかもしれません。
東京オリンピックを目指して、外国人旅行者へ向けた取り組みが進んでいますが、現時点では海外に比べると遅れているでしょう。言語・通貨などへの対応で、特に感じるところです。
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しかし、僕は今も海外へ旅行に行くことがありますが、自分の肌感覚として、日本という国は基本的に、海の向こうでの人気が、かなり高いです。ファンだという方にも、普通に会います。
(絡まれそうになるときは大概、別の国の人と間違われています。)
2年ほど前に、旅行先のチリで、食堂(レストラン)のおじさん(シェフ?)から、普通に「日本人か!この前日本に行ってきたよ。良かったよー」と聞いたときは、正直驚きましたが、自分がそこにいることを考えれば、不思議でも何でもありません。
勝手な推測ですが、世界中の人に、好きな国・行ってみたい国のランキングを集計したら、どちらも日本は、かなり上位に食い込むと思っています。そして確実に、実際行ったことがある、という人も増えています。
中から気付いていなくても、外からだと見えることって、たくさんあります。もちろん、中に入らないと分からないことだってありますが、中に入ってると見えないこともある。
海外から来る人々が、何を求めているのか。何に喜びを感じるのか。
そこを深めていけば、世界の中で、日本の持っている価値が、改めて浮かび上がってきます。
時代が変わり、世界の人々が求めるものも、モノからコトへと、移行が始まっています。その中で、日本が世界に向けて、何を発信するか。何を提供していくか。
そして自分の仕事を、どう世界に繋げていくか。
これからが、本当の腕の見せどころです。