過去と未来をつなぐ。

'83年生まれ ♂ の雑記帖。思ったことは、自分の言葉で書き留めとく。

日本の良さは、海の外からわかる 2

定着した感のある「インバウンド」現象。

先日のブログで、日本には、海外の人にオリジナルの体験が提供できる、優れたポテンシャルがあるんじゃないか…という話を書きました。

日本の良さは、海の外からわかる) 

今日はもう少し、僕がイチ日本人として、実際に外から見たときに気づいた経験を、書いてみたいと思います。

 

実は10代の頃、僕は、日本が好きではありませんでした。

今思えば、取り立てての理由は無かったように思います。ただ、何となくだけど、閉鎖的で、排他的なんじゃないかと感じていました。

皆、本心を隠して、空気ばかり読んで生きてるし。ニュースはひたすら暗いし。バブルの夢を、いつまでも追い続けてるし。

 仕舞いにはどうやら、10年が失われたらしい。僕の10代だけではなく、皆、その時間を生きてたのに…。

 

でも一方で、この先も続くかのように、目の前の日常は続いていました。

色々な大変なことを、何とかするのはどこかの誰か。自分は多少の辛抱をしながら毎日を生きている方が、実は楽だということも、どこかで思っていました。

 

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大学時代の3年間を武道に熱中することで、少しずつ自分の考え方が変わったのですが、大きな転機は、大学3回生のあとに休学して、海外を一人で旅したときのことです。

行ったのは、アジア6ヶ国と、南米4ヶ国。1年の休学といっても、日本でアルバイトをしたり、就職活動(当時は4回生になる前の冬くらいからが一般的)をやったりの日々。実際に日本を出ていたのは、合わせて5ヶ月弱くらいでした。

 

そこで知ったのは、月並みですが、自分がいかに恵まれた環境にいたかということ。

何よりもまず突きつけられたのが、「自分が学生の身分で旅行できるのは、世界にある格差経済の、恵まれた側に居たから」という事実でした。 

円で稼ぎを得られることが、どれほど恵まれているか。日本のパスポートを持っていることが、いかに海外で有利か。 そして日本はどれだけ、豊かな国だと見られているか。

 

また、自分が自分自身や日本のことを、全く説明できないこともショックでした。

 

よく聞かれたのは、家族のこと。これは必ず聞かれます。どこにいるのか。何をしているのか。なぜお前はここにいるのか。

お前は、音楽は何を聞くのか。その本には、何が書いてあるのか。

そして日本のこと。どんな社会か。物価は。宗教は。

 

でもどれを聞かれても、まず何と答えたらいいか分からない。自分で分からないことを、片言の英語で人に分かるように説明するなんて、不可能です。

 

そうかー、知りもしないのに、日本を嫌いだったんだなぁ。日本のことも自分のことも、もっと知っとかんといけんよなぁ。

 このときに1つ、自分のスイッチが切り替わったように思います。

 

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確かに、海外は刺激的で、予想外のこともたくさん起きて、旅をする分には楽しかった。特に人のエネルギーという面では、日本は、成長途上にある国に全く及ばないと思います。

けど、一方で感じたのは、日本という国で生み出されるモノやサービスの、クオリティの高さ。そして繊細さ。例えば、色彩感覚や味覚などにおける日本人の繊細な感覚は、海外で再現するのは、ものすごく難しいだろうと思いました。

 

この経験は10年も前のものですが、そのときに感じた日本の長所は、今も同じように、海外に行く度に感じます。

 

前にも書きましたが、今の日本は、本当に過ごしやすい国です。モラル意識が高く、治安が良い。食べ物も美味しいし、インフラも整っている。

「おもてなし」に表現されるようなサービスの質が、ものすごく高い。

 

そして、他国が何十年かけても真似できないようなものを、たくさん持っていると思います。 

東日本大震災のとき、世界が日本を見て、何に驚いたか。

電車が動かない駅で列を作って並ぶ人々の写真が、中国では「衝撃的」として新聞の一面に載りました。そんなことが一面になることが、逆に日本人から見れば衝撃的だったのを覚えています。

 

僕らから見れば「そんなこと」です。でも、自分たちにとっては「そんなこと」でも、世界が十分驚くだけの価値が、実はあったりします。

(これは、地方創生の問題にも言えますし、自分自身の生き方にも言えます。評価とは、相対的なものですから。)

 

自分たちに脈々と受け継がれたきた良いものを、一つ一つ棚卸しする、そして発信することに、これからを生きる大きなヒントがあるのではないかと、思っています。

 

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